調理師 過去問 2017年度版 part4 31~40
問題31
食品内毒素型食中毒の原因菌として、正しいものを一つ選びなさい。
1.腸炎ビブリオ
2.エルシニア・エンテロコリチカ
3.サルモネラ属菌
4.黄色ブドウ球菌
正解→ 4
解説
4.黄色ブドウ球菌
が正解です。
「食品内毒素型食中毒」とは、原因菌が出す毒素を摂取することで起こる食中毒のこと。
黄色ブドウ球菌は、手指の傷の化膿から汚染しやすく、おにぎりやサンドイッチなどで食中毒がしばしば
みられます。
食中毒には、「感染型」「毒素型」「生体内毒素型」があります。
問題に出てくるほかの3つは、感染型食中毒を起こす菌です。
【感染型】
食品内で原因菌が増殖し、その食品を摂取することで起こる。
腸炎ビブリオ、サルモネラ属菌、エルシニア・エンテロコリチカ、カンピロバクターなど
【毒素型】
食品内で増殖した原因菌が毒素を産生し、その食品を食べることで起こる。
黄色ブドウ球菌、セレウス菌、ボツリヌス菌など
【生体内毒素型】
摂取した原因菌が腸で増殖し、毒素を産生するために起こる。
問題32
細菌性食中毒と主な原因食品の組み合わせとして、正しいものを一つ選びなさい。
1.
黄色ブドウ球菌 ――― 豚肉2.サルモネラ属菌 ――― おにぎり
3.カンピロバクター ――― 鶏肉
4.腸炎ビブリオ ――― 煮魚
正解→ 3
解説
1.
× 黄色ブドウ球菌による食中毒は、調理者の手などについた黄色ブドウ球菌が原因で起こります。
黄色ブドウ球菌はヒトの手指、咽喉、鼻付近、化膿した傷などに存在するごくありふれた菌です。
食品に付着した黄色ブドウ球菌が増殖し、毒素を出すと食べた人が感染してしまいます。
手指に傷がある人は調理から外れること、手指の徹底消毒、顔付近を手で触れない、などが予防法です。
2.
× サルモネラ菌は、加熱が十分でない鶏肉や鶏卵から感染します。
菌の数が少なくても感染してしまいますが、熱に弱い菌です。75℃で1分の消毒で死滅します。
3.
○ 加熱不十分な鶏肉を食べることによって感染することが多いです。飲料水での感染例もあります。
4.
× 腸炎ビブリオは生で魚を食べることによって起こる食中毒です。
生食が主な原因なので、煮魚のように火を通したものでは感染しにくいです。
問題33
消毒法とその適した用途の組み合わせとして、誤っているものを一つ選びなさい。
1.
煮沸法 ――――― 感染患者が使用したタオル2.アルコール ――― 手指
3.紫外線殺菌法 ―― まな板
4.オゾン水 ―――― 野菜類
正解→ 1
解説
1.
× 感染患者が使用したタオルは感染拡大の防止のため、他のタオルとは分けて処理するべきです。
煮沸だけでは不十分なので、消毒薬などを使って適切な処理をしなければなりません。
2.
○ アルコールは手、指を消毒するのに適しています。スーパーや公共の建物などの入り口に設置する所が
増えています。
3.
○ 紫外線を使った包丁まな板殺菌庫は、調理器具自体の殺菌用として、現在では多くの施設で利用されています。
4.
〇 オゾン水は食品添加物として認められています。
オゾンを水に溶かした物で、放っておくとすぐに酸素に戻るので、残留もなく安心です。
オゾン水の中のオゾンは酸素に戻りながら菌やウィルスを殺したり、臭いの元を分解します。
野菜などを洗うと除菌が出来、みずみずしさを長持ちさせ鮮度を保持します。
問題34
微生物に関する記述について、正しいものを一つ選びなさい。
1.黄色ブドウ球菌は、直径約 0.1mmの球形をしている。
2.腐敗した食品中の生菌数は、1g当たり約1千個~1万個である。
3.ウイルスは、生きた細胞の中でしか増殖しない。
4.我が国では、原虫による飲み水を介した健康被害は発生していない。
正解→ 3
解説
1.
× 黄色ブドウ球菌の直径は0.1㎜ではありません。
黄色ブドウ球菌の直径は1.0?(マイクロメートル)で1.0?=0.001㎜です。
2.
× 腐敗した食品の生菌数は、1g当たり1億個で腐敗(官能的な異常:膨張、色、臭い、濁り、軟化、糸引き、
味など)となります。
3.
〇 細菌とウイルスは、人や動物に感染症を引き起こす微生物(目にみえないくらい小さな生物の総称)の
代表格です。
細菌とウィルスの違いは、細菌は自分の力で増殖することができますが、ウイルスは人や動物の細胞の中に入らなければ増えることができません。水にぬれたスポンジの中で細菌は増えますが、ウイルスはしばらくすると消えてしまいます。
4.
× 国内では過去にクリプトスポリジウムによる集団感染が発生しています。
クリプトスポリジウムは「オーシスト」と呼ばれる硬い殻の形で存在します。
オーシストは熱や乾燥には弱いですが、塩素に対して極めて強い耐性があるため、水道水に混入した場合、
集団感染を引き起こす恐れがあります。
問題35
ノロウイルス食中毒の予防・消毒方法に関する記述について、誤っているものを一つ選びなさい。
1.ノロウイルスの不活化には、次亜塩素酸ソーダなど塩素系の消毒薬や漂白剤が有効である。
2.手洗いに加えて、うがいも予防法として推奨される。
3.ノロウイルスの不活化には、消毒用アルコールが有効である。
4.排便後の丁寧な手洗いは、最も効果的な予防法である。
正解→ 3
解説
1.
〇 ノロウィルスは一般的に消毒に使われているアルコール等、いろいろな消毒剤に抵抗性があると言われて
います。
確実に消毒するには、次亜塩素酸ソーダなど塩素系の消毒薬や漂白剤が有効です。
2.
〇 手洗いはもちろんのこと、うがいも有効な予防手段だと言えます。
石鹸(ハンドソープ)にはウィルスに対して消毒効果はありませんが、手の油脂、汚れを落とすことにより、
ウィルスをはがれやすくします。
うがいは、ウィルスが絡まった唾液を排出する効果があります。
3.
× 1.でも記したように、消毒用アルコールではノロウィルスは不活性化されません。
4.
〇 ノロウィルスは感染力が極めて高く、排泄物中のウィルス量が多いので、トイレから出たらしっかりと
石鹸(ハンドソープ)を使って丁寧に手を洗う必要があります。
問題36
逆性せっけん( 陽イオン界面活性剤 )に関する記述について、正しいものを一つ選びなさい。
1.石けんや陰イオン界面活性剤が残っていても、殺菌効果は弱くならない。
2.殺菌力が強く、無色、無味、無臭であるため、手指の消毒に用いられる。
3.食品の汚れなどの有機物が残っていても、殺菌効果は変わらない。
4.食品添加物に指定されており、食品の消毒に使用することができる。
正解→ 2
解説
1.
× 普通石鹸と逆性石鹸を混ぜると、両者ともに界面活性を失い、普通石鹸の洗浄効果も、逆性石鹸の殺菌力や
柔軟効果も共に減弱してしまいます。
2.
○ 逆性石鹸は、手指、冷蔵庫、食器などに使用可能です。無色・無味・無臭で刺激が少なく、洗浄力には
欠けますが、殺菌力に優れています。
3.
× 汚れなどの有機物が残っていると、逆性石鹸がそれらと結合して、本来意図している結合が阻害され、
効果が弱くなります。
逆性石鹸を使う時は、まず普通石鹸で汚れを十分に落とし、水ですすいで普通石鹸を洗い流した後に使うのが
効果的です。
4.
× 殺菌力はありますが、毒性を持っているので「次亜塩素酸ナトリウム」のように食品添加物に指定されて
ませんので、野菜などの消毒、直接人の口に入る食物、それに関連して使われるまな板や調理道具などへの使用
は、避けた方が良いです。
問題37
ウエルシュ菌食中毒に関する記述について、正しいものを一つ選びなさい。
1.食品を再加熱することにより防ぐことができる。
2.調理済み食品を急冷することや高温保存することが予防になる。
3.発症まで36時間かかる。
4.大規模事例になることはない。
正解→ 2
解説
1.
× ウェルシュ菌は熱に強い芽胞を作るため、高温でも死滅せず生き残ります。
2.
〇 加熱調理した時、食品の中心部分は、嫌気性のウェルシュ菌にとって好ましい酸素のない状態となり、
食品の温度が菌の発育に適した温度(20~50℃)に下がると発芽して急速に増殖を始めます。
食品の中で大量に増殖した菌が胃を通過、小腸内で増殖して、菌が芽胞型に移行する際にエンテロトキシン
(毒素)が生産され、これにより下痢などの症状が起きます。
増殖防止は加熱調理後3時間以内に20℃以下に急冷するか、高温保存して、20~50℃という温度をできるだけ
避けた温度で保存することが大事です。
3.
× ウェルシュ菌食中毒の潜伏時間は通常6~18時間、平均10時間です。
喫食後24時間以降に発病することはほとんどありません。
従って、発症まで36時間という記述は誤り、ということになります
4.
× 大量の食事を調理する、給食施設などで発生事例が多くあることから「給食病」という異名があり、患者数
の多い大規模食中毒事件を起こす特徴があります。
問題38
食品取扱施設における食品取扱者の衛生管理に関する記述について、誤っているものを一つ選びなさい。
1.下痢の症状がある場合は、食品の取扱作業に従事しない。
2.生鮮の原材料を取り扱った後は、必ず手指の洗浄及び消毒を行う。
3.指輪は、落下の恐れがなければ外さなくともよい。
4.衛生的な作業着・帽子・マスクを着用する。
正解→ 3
解説
3.指輪は、落下の恐れがなければ外さなくともよい。
を選択するのが正解です。
調理従事者は、衛生管理のため指輪やマニキュアは調理前にとっておかなければなりません。
「大量調理施設衛生管理マニュアル」に記載されている内容からの出題です。
調理従事者が怠ってはならない点検項目で、しばしば出題されるので、確実に覚えておきましょう。
1.
× 下痢、発熱、手指に化膿した傷のある人は、調理作業に従事しません。
下痢と嘔吐のある人は医療機関を受診し、感染症かどうか原因を確認します。
ノロウイルスに感染した人は、菌を保有していないことがはっきりわかるまでの間、食品の取り扱いは控える
ことがのぞましいです。
2.
× 生鮮の原材料は、食中毒の原因菌の汚染源になる場合があるので、触れた後は流水と石けんによる手洗いを
2回と手指の消毒を行い、二次汚染を防ぎます。
4.
× 文章のとおりで、調理従事者は衛生的な作業着・帽子・マスクを着用します。
またこれらは毎日清潔なものに取り換えます。
問題39
食品安全基本法に基づく食品安全委員会に関する記述について、正しいものを一つ選びなさい。
1.食品衛生に関するリスク管理を行う。
2.農林水産省の附属機関である。
3.食品の健康影響評価を行う。
4.特定保健用食品の表示の許可を行う。
正解→ 3
解説
3.食品の健康影響評価を行う。
が正解です。
食品安全委員会は、内閣府に設立された機関です。
食品安全基本法に基づき、危害要因(=ハザード。人の健康に危害を加えるおそれのある微生物、農薬、
食品添加物など)のリスク評価を行います。
リスク評価は「食品健康影響評価」と呼ばれます。これは、どのような危害要因をどれくらいの量を摂取すると
健康に影響を及ぼすのか、科学的に評価することです。
1.
× 食品安全委員会は、危害要因に関するリスク管理を行います。
2.
× 食品安全委員会は、内閣府の付属機関です。
4.
× 特定保健用食品の表示の許可を行っているのは、消費者庁長官です。
問題40
アレルギー様食中毒に関する記述について、正しいものを一つ選びなさい。
1.アミノ酸の一種であるヒスチジンを多く含む牛や豚の肉が原因となる。
2.健康な人では発症しない。
3.食後6時間以内に発症する。
4.原因物質であるヒスタミンは、細菌により生成される。
正解→ 4
解説
4.原因物質であるヒスタミンは、細菌により生成される。
が正解です。
食品に含まれるアミノ酸の一種「ヒスチジン」は、ヒスタミン産生菌によって「ヒスタミン」に変換されます。
ヒスタミンを多く含む主な食品は、鮮度の落ちた青魚や赤身魚、魚の加工食品などです。
食品からヒスタミンを大量に取り込むと「ヒスタミン食中毒」を起こし、じんましん、腹痛、嘔吐、
下や顔の腫れといったアレルギー症状を伴います。
ヒスタミン食中毒は、アレルギーのような反応が起こるので「アレルギー様食中毒」と呼ばれます。
1.
× 牛や豚よりも、青魚や赤身魚にヒスチジンが多く含まれています。
2.
× 通常のアレルギーと異なり、アレルギー体質の有無にかかわらず健康な人も、ヒスタミンを大量に摂取した
時には発症します。
3.
× 食後30~60分で症状が起こります。