管理栄養士 過去問 2019年度版 part9 81~90
問題81
鉄の栄養に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
1.消化管における非ヘム鉄の吸収率は、ヘム鉄と比べて高い。
2.消化管における非ヘム鉄の吸収率は、鉄欠乏により低下する。
3.体内の総鉄量の大部分は、貯蔵鉄として存在する。
4.体内の機能鉄の大部分は、骨格筋に存在する。
5.赤血球の破壊で遊離した鉄は、ヘモグロビンの合成に再利用される。
正解→ 5
解説
1.×
消化管における非ヘム鉄の吸収率は、ヘム鉄と比べて低いです。
非ヘム鉄は、緑黄色野菜、豆類、卵などに含まれ、ヘム鉄は、主に魚や肉類に含まれます。
2.×
消化管における非ヘム鉄の吸収率は、鉄欠乏により上昇します。
3.×
体内の総鉄量の大部分は、機能鉄として存在します。
4.×
体内の機能鉄の大部分は、赤血球に存在します。
5.○
赤血球の破壊で遊離した鉄は、ヘモグロビンの合成に再利用されます。
問題82
水と電解質に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
1.成人男性の血漿量は、体水分量の約70%を占める。
2.糖質と脂質、各々1gから生成される代謝水は、同量である。
3.不感蒸泄には、発汗が含まれる。
4.水分欠乏型脱水では、血漿浸透圧が低くなる。
5.バソプレシンの分泌は、体水分量が不足すると促進される。
正解→ 5
解説
1.×
成人男性の血漿量は、体水分量の約8%を占めます。
2.×
糖質と脂質、各々1gから生成される代謝水は、同量ではありません。
3.×
不感蒸泄には、発汗が含まれません。
4.×
水分欠乏型脱水では、血漿浸透圧が高くなります。
5.○
バソプレシンの分泌は、体水分量が不足すると促進されます。
問題83
エネルギー代謝に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
1.メッツ(METs)は、身体活動時のエネルギー消費量を基礎代謝量で除して求める。
2.身体活動レベル(PAL)は、1日の総エネルギー消費量を安静時代謝量で除して求める。
3.体内におけるたんぱく質の燃焼量は、尿中に排泄された窒素量から求める。
4.呼吸商は、酸素消費量を二酸化炭素排出量で除して求める。
5.グルコースが燃焼した場合の呼吸商は、0.7である。
正解→ 3
解説
1.×
メッツ(METs)は、身体活動時のエネルギー消費量を安静時代謝量で除して求めます。
2.×
身体活動レベル(PAL)は、1日の総エネルギー消費量を基礎代謝量で除して求めます。
3.○
体内におけるたんぱく質の燃焼量は、尿中に排泄された窒素量から求めます。
4.×
呼吸商は、二酸化炭素排出量を酸素消費量で除して求めます。
5.×
グルコースが燃焼した場合の呼吸商は、1.0です。また脂質は0.7、たんぱく質は0.8です。
問題84
動的栄養アセスメントの指標である。正しいのはどれか。1つ選べ。
1.BMI(kg/m2)
2.上腕三頭筋部皮下脂肪厚
3.血清トランスフェリン値
4クレアチニン身長係数
5.遅延型皮膚過敏反応
正解→ 3
解説
1.×
BMI(kg/m2)は、静的栄養アセスメントの指標です。
2.×
上腕三頭筋部皮下脂肪厚は、静的栄養アセスメントの指標です。
3.○
血清トランスフェリン値は動的栄養アセスメントの指標です。
4.×
クレアチニン身長係数は静的栄養アセスメントの指標です。
5.×
遅延型皮膚過敏反応は免疫能の指標です。
問題85
日本人の食事摂取基準(2015年版)において、1歳以上で推奨量(RDA)が設定されている栄養素である。
正しいのはどれか。1つ選べ。
1.n-3系脂肪酸
2.炭水化物
3.ビタミンD
4.ビタミンB1
5.カリウム
正解→ 4
解説
1.×
n-3系脂肪酸は、すべての年齢で目安量が設定されています。
2.×
炭水化物は、1歳以上で目標量が設定されています。
3.×
ビタミンDは、目安量と耐容上限量が設定されています。
4.○
ビタミンB1は、1歳以上で推定平均必要量と推奨量が設定され、0歳では目安量が設定されています。
5.×
カリウムは、1歳以上で目安量、6歳以上は目安量と目標量が設定されています。
問題86
日本人の食事摂取基準(2015年版)における策定の基本的事項に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
1.摂取源には、サプリメントは含まれない。
2.参照体位は、望ましい体位を示している。
3.BMI(kg/m2)は、18歳以上のエネルギー収支バランスの指標である。
4.高齢者の年齢区分は、65歳以上である。
5.目安量(AI)は、生活習慣病の予防を目的とした指標である。
正解→ 3
解説
1.×
摂取源に、サプリメントは含まれます。
2.×
参照体位は、日本人の平均的な体位を示します。
3.○
BMI(kg/m2)は、18歳以上のエネルギー収支バランスの指標です。
4.×
高齢者の年齢区分は、70歳以上です。
5.×
生活習慣病の予防を目的とした指標は、目標量(DG)です。
目安量(AI)は、特定の集団における、ある一定の栄養状態を維持するのに十分な量の指標です。
問題87
日本人の食事摂取基準(2015年版)の小児に関する記述である。
正しいのはどれか。1つ選べ。
1.1歳児の基礎代謝基準値は、4歳児より低い。
2.身体活動レベル(PAL)は、2区分である。
3.炭水化物の目標量(DG)は、成人に比べ高い。
4.脂質の目標量(DG)は、男女で異なる。
5.鉄の推定平均必要量(EAR)は、要因加算法で算出した。
正解→ 5
解説
1.×
1歳児の基礎代謝基準値は、4歳児より高いです。
2.×
1~5歳児の身体活動レベル(PAL)は、1区分のみ(レベルⅡ、ふつう)です。
6歳以上では、身体活動レベル(PAL)は3区分で、低い(Ⅰ)、ふつう(Ⅱ)、高い(Ⅲ)があります。
3.×
炭水化物の目標量(DG)は、成人と同じで50~65(57.5)%エネルギーです。
4.×
脂質の目標量(DG)は、男女で同じで20~30(25)%エネルギーです。
5.○
鉄の推定平均必要量(EAR)は、要因加算法で算出しました。
問題88
成長・発達・加齢に伴う変化に関する記述である。
正しいのはどれか。1つ選べ。
1.体水分量に占める細胞外液の割合は、新生児期より成人期の方が大きい。
2.胸腺重量は、成人期に最大となる。
3.糸球体濾過量は、成人期より高齢期の方が大きい。
4.塩味の閾値は、成人期より高齢期の方が高い。
5.唾液分泌量は、成人期より高齢期の方が多い。
正解→ 4
解説
1.×
体水分量に占める細胞外液の割合は、新生児期より成人期の方が小さいです。
2.×
胸腺重量は、14歳頃に最大となります。
3.×
糸球体濾過量は、成人期より高齢期の方が小さいです。
4.○
塩味の閾値は、成人期より高齢期の方が高いです。
5.×
唾液分泌量は、成人期より高齢期の方が少ないです。
問題89
妊娠期の身体的変化に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
1.体重は、一定の割合で増加する。
2.基礎代謝量は、増加する。
3.循環血液量は、減少する。
4.ヘモグロビン濃度は、上昇する。
5.インスリン感受性は、高まる。
正解→ 2
解説
1.×
体重の増加割合は一定ではありません。
2.○
基礎代謝量は、増加します。
3.×
循環血液量は、増加します。
4.×
ヘモグロビン濃度は、低下します。
5.×
インスリン抵抗性は高まり、インスリン感受性は低下します。
問題90
日本人の食事摂取基準(2015年版)において、授乳婦に付加量が設定されている栄養素である。
誤っているのはどれか。1つ選べ。
1.たんぱく質
2.ビタミンA
3.葉酸
4.カルシウム
5.鉄
正解→ 4
解説
1.○
たんぱく質
妊婦の付加推奨量は初期0g、中期10g、後期25gです。
2.○
ビタミンA
妊婦の付加推奨量は初期中期0μgRAE/日、後期80μgRAE/日です。
3.○
葉酸
妊婦の付加推奨量は240μg/日です。
4.×
カルシウム
授乳中にはカルシウムの吸収が促進されるため負荷量はありません。
5.○
鉄
妊婦の付加推奨量は初期2.5㎎/日、中期後期15.0㎎/日です。
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