管理栄養士 過去問 2019年度版 part8 71~80

管理栄養士2019

問題71

栄養素の吸収に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。

1.受動輸送の速度は、細胞内外の濃度差が大きいほど遅くなる。
2.促進拡散は、細胞内外の濃度勾配に逆らって輸送する機構である。
3.フルクトースは、Na+と共に吸収される。
4.ジペプチドは、H+と共に吸収される。
5.コレステロールの吸収は、胆汁酸を必要としない。

正解→ 4

解説

1.×
受動輸送の速度は、細胞内外の濃度差が大きいほど速くなります。

2.×
促進拡散は、細胞内外の濃度勾配に従って輸送する機構です。
能動輸送では、細胞内外の濃度勾配に逆らってエネルギーを使い輸送します。

3.×
フルクトースは、促進拡散で吸収されます。グルコースとガラクトースは、Na+と共に吸収されます。

4.○
ジペプチドは、H+と共に吸収されます。

5.×
コレステロールの吸収は、胆汁酸を必要とします。

問題72

栄養素の消化と吸収に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。

1.でんぷんがα-アミラーゼにより加水分解されると、主にグルコースが生成される。
2.たんぱく質の消化は、十二指腸から始まる。
3.トリアシルグリセロールの消化は、回腸から始まる。
4.2価鉄(Fe2+)は、3価鉄(Fe3+)となり吸収される。
5.ビタミンB12の吸収には、内因子との結合が必要である。

正解→ 5

解説

1.×
でんぷんがα‐アミラーゼにより加水分解されると、にマルトースやオリゴ糖が生成します。

2.×
たんぱく質の消化は、胃から始まります。

3.×
トリアシルグリセロールの消化は、十二指腸で胆汁酸によって乳化されるところから始まります。

4.×
3価鉄(Fe3+)は、2価鉄(Fe2+)となり吸収されます。

5.○
ビタミンB12の吸収には、内因子との結合が必要です。

問題73

たんぱく質とアミノ酸の代謝に関する記述である。
正しいのはどれか。1つ選べ。

1.たんぱく質の摂取量が不足すると、窒素出納は正になる。
2.たんぱく質の摂取量が増加すると、尿中への尿素排泄量は減少する。
3.アルブミンは、腎臓で合成される。
4.トリプトファンは、パントテン酸に変換される。
5.バリンは、糖新生に利用される。

正解→ 5

解説

1.×
たんぱく質の摂取量が不足すると、窒素出納は負になります。

2.×
たんぱく質の摂取量が増加すると、尿中への尿素排泄量は増加します。

3.×
アルブミンは肝臓で合成されます。

4.×
トリプトファンは、セロトニンやメラトニン、ナイアシン等に変換されます。

5.○
バリンは、糖新生に利用されます。

問題74

摂取するたんぱく質の量と質の評価に関する記述である。
正しいのはどれか。1つ選べ。

1.無たんぱく質食摂取時には、窒素の糞便中排泄はない。
2.アミノ酸インバランスは、可欠アミノ酸の過剰摂取により起こる。
3.正味たんぱく質利用率は、たんぱく質栄養価の化学的評価法である。
4.小麦たんぱく質の第一制限アミノ酸は、リシンである。
5.アミノ酸の補足効果は、卵白たんぱく質に対して発揮される。

正解→ 4

解説

1.×
無たんぱく質食摂取時にも、窒素の糞便中排泄はあります。

2.×
アミノ酸インバランスは、制限アミノ酸が複数ある食品に一つの制限アミノ酸のみを加えることにより起こります。

3.×
正味たんぱく質利用率は、たんぱく質栄養価の生化学的評価法です。

4.○
小麦たんぱく質の第一制限アミノ酸は、リシンです。

5.×
アミノ酸の補足効果は、卵白たんぱく質に対して発揮されません。

問題75

糖質の代謝に関する記述である。正しいのはどれか。2つ選べ。

1.腎臓は、糖新生を行う。
2.吸収された単糖類は、リンパ管を介して肝臓に運ばれる。
3.肝臓は、グルコースから脂肪酸を合成できない。
4.骨格筋は、グルコース6-リン酸からグルコースを生成する。
5.脳は、飢餓の時にケトン体を利用する。

正解→ 1.5.

解説

1.○
腎臓は、糖新生を行います。

2.×
吸収された単糖類は、小腸で吸収されて肝臓に運ばれます。
また脂質(中性脂肪、コレステロール、リン脂質など)は、リンパ管を介して肝臓に運ばれます。

3.×
肝臓は、グルコースから脂肪酸を合成できます。

4.×
骨格筋は、グルコース6-リン酸からグルコースを生成できません。

5.○
脳は、飢餓の時にケトン体を利用します。

問題76

血糖とその調節に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。

1.アドレナリンは、血糖値を低下させる。
2.グルココルチコイドは、血糖値を低下させる。
3.チロキシンは、血糖値を低下させる。
4.インスリンは、血中グルコースの脂肪組織への取り込みを促進する。
5.血糖値が低下すると、骨格筋におけるグルコース消費は促進される。

正解→ 4

解説

1.×
アドレナリンは、血糖値を上昇させます。
血糖値を上昇させるホルモンとして、主にアドレナリン、グルカゴン、グルココルチコイドがあります。

2.×
グルココルチコイドは、血糖値を上昇させます。血糖値を低下させるのはインスリンです。

3.×
チロキシンは、血糖値を上昇させます。

4.○
インスリンは、血中グルコースの脂肪組織への取り込みを促進します。

5.×
血糖値が低下すると、インスリンの作用により骨格筋や肝臓、脂肪組織におけるグルコース消費は抑制されます。

問題77

食後の脂質代謝に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。

1.血中のVLDL濃度は、低下する。
2.血中の遊離脂肪酸濃度は、上昇する。
3.肝臓でトリアシルグリセロールの合成は、亢進する。
4.肝臓でケトン体の産生は、亢進する。
5.脂肪組織でホルモン感受性リパーゼ活性は、上昇する。

正解→ 3

解説

1.×
血中のVLDL濃度は、上昇します。

2.×
血中の遊離脂肪酸濃度は、低下します。血中の遊離脂肪酸濃度は、空腹時に上昇します。

3.○
肝臓でトリアシルグリセロールの合成は、亢進します。

4.×
肝臓でケトン体の産生は、低下します。

5.×
脂肪組織でホルモン感受性リパーゼ活性は、低下します。

問題78

コレステロール代謝に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。

1.コレステロールは、エネルギー源として利用される。
2.コレステロールは、甲状腺ホルモンの原料となる。
3.コレステロールの合成は、食事性コレステロールの影響を受けない。
4.胆汁酸は、腸内細菌により代謝される。
5.胆汁酸は、大部分が空腸で再吸収される。

正解→ 4

解説

1.×
コレステロールは、エネルギー源として利用されません。

2.×
コレステロールは、ステロイドホルモンの原料となります。

3.×
コレステロールの合成は、食事性コレステロールの影響を受けます。

4.○
胆汁酸は、腸内細菌により代謝されます。

5.×
胆汁酸は、大部分が回腸で再吸収されます。

問題79

ビタミンB群に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。

1.ビタミンB1が欠乏すると、血中の乳酸値が低下する。
2.ナイアシンの必要量は、エネルギー消費量が多くなると増加する。
3.ビタミンB6の必要量は、たんぱく質の摂取量が多くなると減少する。
4.葉酸が欠乏すると、悪性貧血になる。
5.ビタミンB12が欠乏すると、血中ホモシステイン値が低下する。

正解→ 2

解説

1.×
ビタミンB1が欠乏すると、血中の乳酸値が上昇します。またその結果乳酸アシドーシスを起こすことがあります。

2.○
ナイアシンの必要量は、エネルギー消費量が多くなると増加します。

3.×
ビタミンB6の必要量は、たんぱく質の摂取量が多くなると増加します。

4.×

葉酸が欠乏すると、巨赤芽球性貧血になります。胎児では、葉酸の欠乏は神経管閉鎖障害のリスクを高めます。

5.×
ビタミンB12が欠乏すると、血中ホモシステイン値が上昇します。

問題80

ビタミンCに関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。

1.体内に蓄積しやすい。
2.還元作用をもつ。
3.非ヘム鉄の吸収を抑制する。
4.欠乏すると、血液凝固が亢進する。
5.腸内細菌によって合成される。

正解→ 2

解説

1.×
ビタミンCは、水溶性で過剰分は尿に排泄されるので体内に蓄積しにくいです。

2.○
還元作用をもちます。

3.×
非ヘム鉄の吸収を促進します。

4.×
欠乏すると、血液凝固が低下します。ビタミンCの欠乏は、壊血病の原因となります。

5.×
腸内細菌によって合成されません。腸内細菌によって合成できるものには、ビタミンB2、B6、B12や葉酸、
パントテン酸、ビオチン、ビタミンKなどがあります。

👈part7       2019年度HOME        part9👉

<<BACKHOMENEXT>>

スポンサーリンク