26 鉄 Fe

栄養素まとめ 日本Japanese

鉄欠乏症は世界的にもっともよく見られる栄養問題のひとつです。
現在、もっとも軽い潜在性鉄欠乏症とよばれる状態でも、
実はうつ病などと関わる重要な状態であることが
知られるようになってきました。

鉄の吸収 ~ヘム鉄と非ヘム鉄~

栄養素の鉄には2種類あります。
ヘム鉄と非ヘム鉄と呼ばれるものです。

肉や魚に含まれるものを「ヘム鉄」、
ひじきやほうれん草、プルーンなどに含まれるものを「非ヘム鉄」といいます。
ヘム鉄の方が圧倒的に吸収率がよくなっています。

ヘム鉄

肉や魚に含まれる
吸収率が高い(10~20%)

非ヘム鉄

野菜や穀類に含まれる
吸収率が低い(2~5%)

ヘム鉄と非ヘム鉄の吸収

鉄は小腸で吸収されます。

ヘム鉄はもともとタンパク質にくるまれて
吸収されやすい形になっているので、比較的すんなりと吸収されます。

一方、非ヘム鉄の吸収率は非常に低く、
吸収されるときに活性酸素を出して粘膜を攻撃してしまいます。
また、一緒に食べたものに簡単に影響されてしまいます。

貧血対策にはヘム鉄を含む食品を食べましょう。

鉄の吸収を促進・阻害する因子

鉄を摂るとき、CPP(カゼインホスホペプタイド)を一緒に摂ると、
小腸の下の方でもう一度汲み上げてくれるので、吸収率が上がります。

酸っぱいものや辛いものを食べて胃を刺激するのも効果的です。

一方、紅茶、コーヒー、緑茶に含まれるタンニンは、
非ヘム鉄の吸収を妨げる吸収を妨げるといわれています。
しかし、ヘム鉄の場合は気にしなくてよいという意見もあります。

促進因子(鉄の吸収を助ける)

CPP
ビタミンC
タンパク質

阻害因子(鉄の吸収を妨げる)

タンニン(コーヒー、紅茶、緑茶等)
フィチン酸(穀物の外皮、玄米等)
食物繊維(おから、大豆、穀物の外皮、海藻類)

体内のミネラルバランス ~鉄、亜鉛、銅~

人のからだは、微妙な割合でミネラルバランスが保たれています。
このミネラルのバランスがとれてこそ人は健康でいられます。

例えば、鉄だけを大量に摂取すると、
亜鉛や銅の吸収が妨げられてしまいます。

すると他のミネラルが減る分、
利用できる鉄の量が多くなりそうですが、
実は逆にその利用が阻害されてしまいます。

また、鉄を運んでくれるタンパク質(トランスフェリン)に
鉄が乗るときには銅が必要(セルロプラスミン)ですし、
亜鉛はヘモグロビンの合成にも関係していますので、
これらのミネラルは一緒に摂るのが理想です。

鉄の分布

人は体重60kgの男性で約3g、体重50kgの女性で
約2.5gの鉄をからだの中に持っています。

そのうち2/3は酸素を運ぶトラック(ヘモグロビン)に、
10%は筋肉(ミオグロビン)に、残りは肝臓、脾臓、骨髄、腸に貯蔵されています。
鉄は人の体にとってとても大切ですので、
すぐに取り出せるように貯蔵されていたり、
再利用されるシステムになっています。

鉄の出入りはとても閉鎖的で、摂った食べ物のうち
約1mgが吸収されると同時に、
尿や便から約1mgの鉄が排泄されるという動きになっています。

鉄の働き

私たちは呼吸して吸った酸素でエネルギーをたくさん作り出し、毎日生活しています。

鉄は、その酸素を運ぶトラック(ヘモグロビン)の一部となって
酸素を全身に運んでいます。
また、筋肉の中にいて(ミオグロビン)血液からの
酸素を受け取ったりもしています。

ほかにも、鉄は酵素の一部(チトクローム)として
エネルギー作りに関係したり、薬の代謝に関係したりしています。

鉄不足の症状

鉄不足は特異的な症状は乏しいですが、
様々な不定愁訴と深く関係しています。

鉄が不足すると以下のような症状が出ます。

動悸、めまい、肩こり、頭痛
皮膚、爪、髪の毛、粘膜のトラブル
あざ、歯茎の出血、抜け毛など
氷を好んで食べる

また、精神発達にとっても重要な栄養素なので以下のような症状も出ます。

注意力の低下、イライラ感
食欲不振
抑うつ感

鉄を多く含む食品

1食あたりに必要な鉄の量は3.49mgです。
鉄が多く含まれる野菜は以下です。

小松菜
カブの葉
ほうれん草
しそ

もしかして鉄不足?

あなたの鉄の状態は大丈夫でしょうか?
以下の項目をぜひチェックしてみてください。

立ちくらみ、めまい、耳鳴りがする
むくみがある
疲れやすい
しっしんができやすい
顔色が悪い
肩こり、腰痛、背部痛
風邪にかかりやすい
便秘や下痢をしやすい
歯茎の出血、体にアザがよくできる
吐き気がする
頭痛、頭重になりやすい
胸が痛む
注意力の低下、イライラしやすい
体を動かすと動悸や息切れがする
のどの不快感 まぶたのうらが白い
洗髪時、髪の毛が抜けやすい
皮膚が青白く、または黄色っぽくなる
寝起きが悪い くしゃみ、鼻水、鼻づまり
食欲不振
口角、口唇炎、舌のしびれと赤み
神経過敏

参考文献

https://www.orthomolecular.jp/nutrition/fe/

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