管理栄養士 過去問 2019年度版 part3 21~30

管理栄養士2019

問題021

生体エネルギーと代謝に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。

1.褐色脂肪細胞には、脱共役たんぱく質(UCP)が存在する。
2.電子伝達系は、ミトコンドリアの外膜にある。
3.嫌気的解糖では、1分子のグルコースから3分子のATPを生じる。
4.AMPは、高エネルギーリン酸化合物である。
5.脂肪酸は、コリ回路によりグルコースとなる。

正解→ 1

解説

1.○
脱共役たんぱく質は、褐色脂肪細胞であるミトコンドリアに多く含まれています。

2.×
電子伝達系は、ミトコンドリアの内膜にあります。

3.×
嫌気的解糖では、1分子のグルコースから2分子のATPを生じます。

4.×
ADPおよびATPは、高エネルギーリン酸化合物です。

5.×
乳酸は、コリ回路によりグルコースとなります。

問題022

代謝と酵素反応に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。

1.グルコースは、代謝されると尿素になる。
2.脂肪酸は、代謝されるとアンモニアになる。
3.酵素反応の速度は、至適pHで最大となる。
4.トリプシンの至適pHは、酸性領域にある。
5.ペプシンの至適pHは、アルカリ性領域にある。

正解→ 3

解説

1.×
アンモニアは代謝されると尿素になります。

2.×
アミノ酸は、代謝されるとアンモニアとなります。

3.○
酵素はたんぱく質であるため、反応が一番起きやすいpHや温度があります。
それを至適pHまたは至適温度といい、一番よく反応を示すところなので、最大となります。

4.×
トリプシンの至適pHは、アルカリ性領域にあります。

5.×
ペプシンの至適pHは、酸性領域にあります。

問題023

糖質・脂質代謝に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。

1.クエン酸回路では、糖新生が行われる。
2.グルカゴンは、肝臓のグリコーゲン分解を促進する。
3.赤血球は、脂肪酸をエネルギー源として利用する。
4.HMG-CoA還元酵素は、脂肪酸合成における律速酵素である。
5.コレステロールエステル転送タンパク質(CETP)は、コレステロールをエステル化する。

正解→ 2

解説

1.×
クエン酸回路で行われるのは、NADH2およびFADH2の生成です。

2.○
グルカゴンは、肝臓のグリコーゲン分解を促進し、血糖値を上げるホルモンです。

3.×
赤血球は、グルコースをエネルギー源として利用します。

4.×
HMG-CoA還元酵素は、コレステロール合成における律速酵素です。

5.×
コレステロールをエステル化するのは、レシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼです。

問題024

生体の情報伝達に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。

1.脂溶性ホルモンの受容体は、細胞膜にある。
2.セカンドメッセンジャーは、細胞間の情報伝達に働く。
3.副交感神経終末の伝達物質は、アセチルコリンである。
4.シナプスにおける情報伝達は、双方向である。
5.神経活動電位の伝導速度は、無髄繊維が有髄繊維より速い。

正解→ 3

解説

1.×
脂溶性ホルモンは細胞内で、細胞膜にあるのは、水溶性ホルモンです。

2.×
セカンドメッセンジャーは、細胞外からの刺激を細胞内に伝達するときに用いられる伝達物質です。

3.○
副交感神経はアセチルコリン、交感神経はノルアドレナリンです。
副交感神経は心拍数、血圧、脈拍を下げ、消化液分泌を増加させます。

4.×
シナプスの伝達は一方向です。

5.×
跳躍伝達ができる有髄繊維のほうが、無髄繊維より速く伝達できます。

問題025

個体の恒常性に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。

1.過呼吸では、呼吸性アシドーシスがみられる。
2.アルドステロンの過剰分泌により、代謝性アルカローシスが起きる。
3.メラトニンは、夜間に分泌が減少する。
4.不感蒸泄では、電解質の喪失がみられる。
5.食物摂取後は、生体における熱産生が抑制される。

正解→ 2

解説

1.×
過呼吸では、呼吸性アルカローシスがみられます。

2.○
原発性アルドステロン症の症状の一つに、代謝性アルカローシスがあります。

3.×
メラトニンは、夜間の分泌は増加します。

4.×
不感蒸泄とは、汗以外で皮膚や呼気から自然と蒸発していく水分のことなので、電解質は喪失しません。

5.×
食物摂取後は、生体における熱産生が促進されます。

問題026

加齢・疾患に伴う変化に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。

1.褐色脂肪細胞は、加齢とともに増加する。
2.リポフスチンの細胞内への沈着は、加齢とともに減少する。
3.良性腫瘍は、悪性腫瘍と比べて細胞の分化度が低い。
4.血管透過性は、炎症の急性期に亢進する。
5.肉芽組織は、炎症の急性期に形成される。

正解→ 4

解説

1.×
褐色脂肪細胞は、加齢とともに減少します。

2.×
リポフスチンの細胞内への沈着は、加齢とともに増加します。

3.×
良性腫瘍は、悪性腫瘍より細胞の分化度が高いです。

4.○
普通は高分子物質は血管壁を通過することはありませんが、炎症が起こり急性期となると透過することがまれに
見受けられます。
この状態が血管透過性が亢進するということです。

5.×
肉芽組織は、炎症の慢性期に形成されます。

問題027

臨床検査に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。

1.基準値は、健常者の測定値の75%が含まれる範囲である。
2.心電図のP波は、心室の興奮を反映している。
3.便潜血反応は、大腸がんのスクリーニングとして用いられる。
4.ALTの上昇は、心臓疾患に特異的である。
5.CT(コンピュータ断層撮影)は、磁気を利用する検査である。

正解→ 3

解説

1.×
基準値は、健常者の測定値の95%が含まれる範囲です。

2.×
心電図のP波は、心房の興奮を反映しています。

3.○
大腸がんを発見するために、便に血液が混じっていないかを確認します。

4.×
ALTの上昇は、肝疾患に特異的です。

5.×
CT(コンピュータ断層撮影)は、X線を利用する検査です。

問題028

治療の種類とその例の組合せである。誤っているのはどれか。1つ選べ。

1.対症療法 ――― 発熱の患者に対する解熱鎮痛薬の投与
2.原因療法 ――― C型慢性肝炎に対する抗ウイルス療法
3.化学療法 ――― 子宮頸がんに対する放射線照射
4.理学療法 ――― 脳梗塞後の麻痺に対するリハビリテーション
5.緩和療法 ――― がん患者に対する精神的ケア

正解→ 3

解説

1.○
対症療法の目的は、症状を改善することです。

2.○
原因療法の目的は、病気の原因を取り除くことです。

3.×
子宮頸がんに対する放射線照射は、化学療法ではなく、放射線療法です。
化学療法の目的は、薬物を使用し、病気の原因である物質を阻害することです。

4.○
理学療法の目的は、運動機能の維持と改善です。

5.○
緩和療法の目的は、痛みをできる限り取り除くことです。

問題29

栄養・代謝に関わるホルモン・サイトカインに関する記述である。
正しいのはどれか。1つ選べ。

1.グレリンは、食前に比べて食後に分泌が増加する。
2.レプチンは、エネルギー代謝を抑制する。
3.アディポネクチンは、インスリン抵抗性を増大させる。
4.TNF-α(腫瘍壊死因子α)は、インスリン抵抗性を軽減する。
5.インクレチンは、インスリン分泌を亢進させる。

正解→ 5

解説

1.×
グレリンは、食前より食後の方が分泌されます。

2.×
レプチンは、エネルギー代謝を促進するホルモンです。

3.×
アディポネクチンは、インスリン抵抗性を軽減します。

4.×
TNF-α(腫瘍壊死因子α)は、インスリン抵抗性を増大させます。

5.○
インクレチンとは、食事を摂ることにより、インスリンの分泌を促すホルモンです。

問題30

胆汁と膵液に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。

1.胆汁は、胆嚢で産生される。
2.胆汁は、リパーゼを含む。
3.胆汁は、脂肪を乳化する。
4.膵液は、膵島(ランゲルハンス島)から分泌される。
5.膵液は、酸性である。

正解→ 3

解説

1.×
胆汁は、肝臓で生産されます。

2.×
胆汁はリパーゼの作用を受けやすくする働きを持っています。
主成分はビリルビン、胆汁酸、コレステロール、リン脂質です。

3.○
脂肪を乳化・ミゼル化する働きを持っています。

4.×
ランゲルハンス島からはインスリンが分泌されます。

5.×
膵液はアルカリ性で、胃酸の酸性を中和してくれます。

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