管理栄養士 過去問 2019年度版 part1 1~10

管理栄養士2019

問題001

国内外の公衆衛生・予防医学に関する記述である。
正しいのはどれか。1つ選べ。

1.ジョン・スノウは、結核の流行様式を解明した。
2.プライマリヘルスケアは、アルマ・アタ宣言で示された。
3.ヘルスプロモーションは、ウインスローにより提唱された。
4.わが国の国民皆保険は、第二次世界大戦前に確立された。
5.わが国の保健所の数は、近年増加している。

正解→ 2

解説

1.× 
ジョン・スノウはコレラの原因感染経路を特定しました。

2.○ 
1978年に「すべての人々に健康を」をスローガンに提唱されました。

3.× 
ウインスローは公衆衛生の定義をかかげた人物で、ヘルスプロモーションはWHOによりオタワ憲章において提唱
されました。

4.× 
国民皆保険は第二次世界大戦(1945年)前ではなく、1961年から始まりました。

5.× 
平成8年を境目に減少傾向にあります。




問題002

大気汚染物質とその健康影響の組合せである。正しいのはどれか。1つ選べ。

1.光化学オキシダント ――――― 肺がん
2.二酸化窒素 ――――――――― 中枢神経障害
3.微小粒子状物質(PM2.5) ――― 気管支喘息
4.トリクロロエチレン ――――― 糖尿病
5.ダイオキシン類 ――――――― 慢性気管支炎

正解→ 3

解説

1.×
光化学オキシダントは、夏季の日中など、工場や自動車から排出された窒素酸化物と炭化水素が太陽の紫外線を受けて
光化学反応を起こし生成する二次的汚染物質の総称で、目を刺激する有害物質として、目や喉の粘膜が刺激されたような
症状がみられます。

2.×
自動車のエンジンなどで副生し、大気汚染の原因となる二酸化窒素は、呼吸と共に過剰に人体に取り込まれることで
慢性閉塞性の肺疾患が発症します。

3.○
微小粒子状物質、俗にいうPM2.5とは、大気に浮遊している粒径2.5μmの粒子のことで、とても小さい粒子であるため、
気管に入りやすく、気管支喘息を引き起こす原因となります。

4.×
トリクロロエチレンは、洗浄剤として使われており、土壌汚染や地下水汚染を引き起こす原因とされており、長期間摂取
した場合に、中枢神経障害がみられます。

5.×
ダイオキシン類は、土壌にたまったダイオキシンを、栄養分とともに野菜や果物が吸収してしまい、摂取し続けることで、
悪性新生物(がん)を引き起こす原因となります。




問題003

水道水の水質基準において、「検出されないこと」とされているものである。
正しいのはどれか。1つ選べ。

1.一般細菌
2.大腸菌
3.水銀
4.放射性セシウム
5.トリハロメタン

正解→ 2

解説

1.×
一般細菌については、「1mLの検水で形成される集落数が100以下」と定められています。

2.○
大腸菌については、水道水においては、検出されないこととして定められています。

3.×
水銀については、「1Lあたり0.0005mg以下」と定められています。

4.×
放射性セシウムについては、「1kgあたり10Bq」と定められています。

5.×
トリハロメタンについては、「1Lあたり0.1mg以下」と定められています。




問題004

わが国の保健統計指標とその基となる資料の組合せである。
正しいのはどれか。1つ選べ。

1.老年人口指数 ―――――― 人口動態統計
2.通院者率 ―――――――― 国勢調査
3.食料費 ――――――――― 国民健康・栄養調査
4.平均余命 ―――――――― 患者調査
5.胃がん検診の受診率 ――― 国民生活基礎調査

正解→ 5

解説

1.×
老年人口指数は、人口静態統計を基に調査します。

2.×
通院者率は、国民生活基礎調査を基に調査します。

3.×
食料費は、家計調査を基に調査します。

4.×
平均余命は、生命表を基に調査します。

5.○
国民生活基礎調査には、5つの調査事項があります。
そのうち健康票で、受診率や自覚症状、通院者率等を調査します。




問題005

疾病のスクリーニングに関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。

1.ROC曲線は、縦軸を敏感度、横軸を特異度として描く。
2.偽陽性率は、敏感度を高くすれば低くなる。
3.敏感度と特異度が一定の場合、陽性反応的中度は、有病率が高くなると低くなる。
4.スクリーニング検査は、有病率が高い疾病に適している。
5.スクリーニングは、疾病の診断を目的とする。

正解→ 4

解説

1.×
ROC曲線は、縦軸を敏感度、横軸を偽陽性率(1-特異度)として描きます。

2.×
偽陽性率は、特異度を高くすれば低くなります。

3.×
敏感度と特異度が一定の場合、陽性反応的中度は、有病率が高くなると高くなります。

4.○
スクリーニングとは、疾病を早期発見するために行われています。
そのため、有病率が高い疾病に対して実施することで、疾病の発見率が高くなり、これが早期発見へとつながります。
よって、疾病による死亡率を減らすことにつながります。

5.×
スクリーニングは、疾病の早期発見を目的とします。




問題006

根拠(エビデンス)に基づいた医療(EBM)に関する記述である。
正しいのはどれか。1つ選べ。

1.診療ガイドラインの作成は、法律で定められている。
2.系統的レビューは、研究倫理審査委員会の報告書のことを指す。
3.メタアナリシスは、複数の研究において得られた効果を総合的に判断するときに有用である。
4.臨床経験の豊富な権威者による意見は、質の高いエビデンスとみなされる。
5.民間企業との共同研究で得られた成果は、利益相反を開示しなくてもよい。

正解→ 3

解説

1.×
診療ガイドラインの作成は、法律によって定められていません。

2.×
系統的レビューとは、とあるテーマについて、系統的に文献を集め、研究し、結論を出す方法のことをいいます。

3.○
メタアナリシスとは、さまざまな研究の結果を比べ、より高い見地から分析することや、そのための方法のことです。
よって、正しい答えとなります。

4.×
臨床経験の豊富な権威者による意見は、質の高いエビデンスとはみなされません。
エビデンスの質のレベルは、研究によって得られた結果について、方法や解釈などが誤った研究により得られたもの
でないかで評価されます。

5.×
民間企業との共同研究で得られた成果は、利益相反を開示する必要があります。
研究者が民間企業とどのような関係であるかを開示することが必要であり、対応方法等も開示することが国際的に要請
されます。




問題007

喫煙に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。

1.主流煙は、副流煙より有害物質を多く含む。
2.禁煙治療は、保険診療で認められていない。
3.わが国は、WHOのたばこ規制枠組条約(FCTC)を批准していない。
4.受動喫煙の防止は、健康増進法で定められている。
5.未成年者喫煙禁止法は、第二次世界大戦後に制定された。

正解→ 4

解説

1.×
副流煙は、主流煙より有害物質を多く含んでいます。

2.×
禁煙治療は、保険診療で認められています。

3.×
日本では、WHOのたばこ規制枠組条約(FCTC)を批准しています。

4.○
健康増進法により、受動喫煙の防止が定められているため、公共施設での分煙化がすすめられています。

5.×
未成年者喫煙禁止法は、第二次世界大戦前に制定されました。




問題008

習慣的な運動の影響に関する記述である。誤っているのはどれか。1つ選べ。

1.血清HDL?コレステロール値を上昇させる。
2.インスリン感受性を低下させる。
3.認知機能を改善する。
4.うつ状態を改善する。
5.結腸がんのリスクを低減する。

正解→ 2

解説

1.○
HDL-コレステロールとは、別名善玉コレステロールのことで、運動することにより値は上昇します。

2.×
インスリン感受性とは、インスリン自体に問題がないにもかかわらず、体内で十分な効果を発揮できていない状態の
ことですので、運動することで改善されるため、低下ではなく亢進します。

3.○
運動することで、認知症予防にもつながるので、認知機能は改善します。

4.○
運動することで気分が晴れることにつながるので、うつ状態は改善するといえます。

5.○
結腸がんに限らず、運動することは、がんの予防につながるとされています。




問題009

睡眠と生活リズムに関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。

1.概日リズムを調節しているのは、ドーパミンである。
2.概日リズムは、部屋を暗くすることでリセットされる。
3.夢を見るのは、ノンレム睡眠時に多い。
4.睡眠時無呼吸は、心筋梗塞のリスク因子である。
5.不眠症には、寝酒が有効である。

正解→ 4

解説

1.×
概日リズムを調節しているのは、ドーパミンではなく、メラトニンです。

2.×
概日リズムは、部屋を明るくすることでリセットされます。

3.×
レム睡眠:脳が活動している、筋肉は休んでいる状態。
ノンレム睡眠:脳が休んでいる、筋肉は活動している状態。
よって、夢を見るのは、レム睡眠の時に多いです。

4.○
睡眠時無呼吸症候群は、心筋梗塞だけでなく、その原因となる高血圧や動脈硬化など生活習慣病となるリスクを高めます。

5.×
寝酒は睡眠の質を悪くするので、不眠症には適していません。




問題010

循環器疾患に関する記述である。正しいのはどれか。2つ選べ。

1.喫煙は、くも膜下出血のリスク因子である。
2.血清総コレステロール高値は、脳梗塞のリスク因子である。
3.脳血管疾患の年齢調整死亡率は、女性の方が男性より高い。
4.最近の脳血管疾患の年齢調整死亡率は、上昇傾向である。
5.傷病分類別医科診療医療費は、呼吸器系の疾患よりも少ない。

正解→ 1.2.

解説

1.○
喫煙は、高血圧や動脈硬化の原因ともなるので、くも膜下出血のリスク因子といえます。

2.○
血清総コレステロール値が高いと血管が詰まりやすくなるので、脳梗塞のリスク因子といえます。

3.×
脳血管疾患の年齢調整死亡率は、男性の方が女性より高いです。

4.×
最近の脳血管疾患の年齢調整死亡率は、減少傾向です。
日本人の死亡原因にも以前は第3位でしたが、肺炎が増加したことにより、順位が逆転しました。

5.×
傷病分類別医科診療医療費は、循環器疾患が最も多いです。

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