29 銅 Cu

栄養素まとめ 日本Japanese

銅は成人の体内に約70から100㎎含まれます。
骨、骨格筋に約50%、肝臓中に約10%存在するほか、
血液、脳などに存在しています。

銅の吸収と働き

銅は腸管から吸収されたのち、肝臓へ送られた後、
アポセルロプラスミンというたんぱく質と結合して、
セルロプラスミンの形で、全身に運ばれ、
約10種類の酵素の活性中心に結合して、生体内で様々な働きをします。

また、このセルロプラスミンはヘモグロビン合成に
必須の酵素ですので、貧血予防に欠かせないミネラルです。

また、マクロファージなどの免疫細胞のエネルギー代謝にかかわる
チトクロムCオキシダーゼという酵素の構成成分であるため、
免疫力を高める効果もあるほか、赤血球中の、
SOD酵素(スーパーオキシドディスムターゼ、活性酸素を消去する酵素)にも
含まれているため、動脈硬化の予防にも効果があります。

エネルギー生成や鉄代謝、活性酸素除去などの他、
細胞外マトリクスの成熟、神経伝達物質の産生などにも
関与しています。

銅の1日の摂取基準

日本人の食事摂取基準(2015年版)では1日の摂取の推奨量は、
18~29歳の男性0.9㎎、30~49歳の男性1.0㎎、
50歳以上の男性で0.9㎎、18~69歳の女性で0.8㎎、
70歳以上の女性で0.7㎎と設定されています。
耐容上限量は18歳以上の男女とも10㎎です。

平成27年国民健康・栄養調査における銅の1日の平均摂取量は1.13㎎で、
食品群別の摂取量で見ると、穀類からの摂取量が最も多く、
次いで豆類、野菜類、魚介類の順で多く摂取されていました。

銅が不足するとどうなるか

日常の食生活での欠乏はないとされていますが、
長期に経腸栄養での栄養管理がされている患者や、
人工栄養の未熟児などでは、
摂取量不足による欠乏症がみられることがあります。

主な症状は、貧血、骨異常、毛髪異常、白血球減少、
好中球減少、心血管系や神経系の異常、成長障害などです。

また遺伝的な銅代謝異常であるメンケス病では、
血液中や、脳や肝臓の銅が減少し、その結果、
知能低下、発育遅延、中枢神経障害などの症状が現れます。

銅の過剰摂取の影響

過剰症は化学薬品の誤飲などによる特殊な急性中毒や、
遺伝性のウイルソン病など以外にはほとんど起こりません。

ウイルソン病は銅が胆汁中に分泌されず
肝臓などに蓄積される遺伝病で、
脳神経障害、重度の肝障害、関節障害などを起こします。

また、酢などの酸性の食品を、銅鍋などに入れると、
銅が溶け出し銅の過剰摂取を
引き起こすことがありますので注意が必要です。

近年、銅欠乏が、貧血のほか高コレステロール血症、
アテローム性動脈硬化症などを引き起こすことが
明らかになってきています。

一方、銅の過剰摂取が、活性酸素の生成を促進して
酸化ストレスの原因となることから、
肥満、高血圧、糖尿病、心不全、腎不全を悪化させる
要因であると考えられています。

銅を多く含む食品

1食あたりに必要な銅の量は0.24mgです。
銅が多く含まれる野菜は以下です。

しそ
バジル
アスパラガス
カブの葉

参考文献

https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/mineral-dou.html

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