管理栄養士 過去問 2019年度版 part 11 101~110

管理栄養士2019

問題101
1人で外出が困難な高齢者への、ソーシャルサポートの内容とその種類の組合せである。正しいのはどれか。1つ選べ。

1.バランスのよい弁当の配食を依頼する。 ―――――――― 情動的サポート
2.家族が心配して毎日電話をかける。 ―――――――――― 評価的サポート
3.NPOが地域の食事会に車で送迎をする。 ――――――――― 道具的サポート
4.車椅子で買物がしやすい食料品店の場所を伝える。 ――― 情動的サポート
5.現在の食事内容の具体的な課題を伝える。 ――――――― 情報的サポート

正解→ 3

解説
ソーシャルサポートとは「社会的関係の中でやりとりされる支援のこと」をいい、その内容により以下のように
分けられます。

・情緒的サポート:情緒の安定のために行う共感や励ましの提供
・道具的サポート:形のあるモノやサービスの提供
・情報的サポート:問題の解決に役立つアドバイスや情報の提供
・評価的サポート:行動や態度に対し適切で肯定的な評価の提供

1.×
実際の食事の提供につながるため、「道具的サポート」です。

2.×
家族とのやりとりで情緒に働きかけるため、「情動的サポート」です。

3.○
モノ(車)を使いサポートしているため、「道具的サポート」です。

4.×
自分で買物をしてもらうための情報を提供しているため、「情報的サポート」です。

5.×
現状を適切に評価しているため、「評価的サポート」です。

問題102

経済的な困窮のために、「子どもに十分な食事を食べさせてあげられない」と悲嘆している親への栄養カウンセリングに
おける、共感的理解を示す記述である。
正しいのはどれか。2つ選べ。

1.「子どもに十分に食べさせてあげられないことが辛いのですね」と返す。
2.経済的に困窮している理由を尋ね、「それはお気の毒ですね」と伝える。
3.子どもの食事記録から、不足の可能性のある栄養素について説明する。
4.地域で開催されている、子ども食堂の場所と参加方法を紹介する。
5.親が言葉を詰まらせた時に、うなずきながら「ゆっくりで良いですよ」と言う。

正解→ 1.5.

解説

栄養カウンセリングの技法には、
・傾聴…相手の話にしっかり耳を傾けるくこと
・受容…相手のありのままの言葉や感情を受け入れること
・共感的理解…相手の立場に立ち、気持ちや考え方を理解しようとすること

などがあります。

出題の「共感的理解」は、上記の通り相手の立場に立つものであり、自分の物差しにあてはめて解釈する「同情」とは
区別されます。また、自らの意見や気持ちを述べたり、評価や情報の提供を行うことでもありません。

1.〇
相手の感じ方を、自分も同じように感じていることを伝えているので共感的理解です。

2.×
理由を尋ねることは、共感的理解にはなりません。

3.×
受容と共感のこもっていない発言であり、共感的理解にはなりません。

4.×
紹介などのアドバイスは、共感的理解にはなりません。

5.〇
相手を肯定的に受け止め、理解しようとしているので、共感的理解です。

問題103

栄養カウンセリング中の肥満症患者の発言である。行動変容への動機づけの高まりを示す発言として、最も適切なのは
どれか。1つ選べ。

1.最近、また体重が増えてしまったんですよね。
2.水を飲んでも太る体質なんですよね。
3.太る原因は、ストレスが多いからでしょうかね。
4.やはり、甘いものを控えた方が体重は減りますよね。

正解→4

解説

行動変容とは、健康の維持・増進のために、行動やライフスタイルを望ましいものに改善していくことです。
正しい知識や情報を得ることや、成功経験(実際に行動を行い、上手くできたという経験のこと)やモデリング
(自分と似ている人が、ある行動をうまく行っているのを知ることで、”自分にもうまくできそうだ”と思うこと)で
自己効力感を高めることなどによって、行動変容のための動機づけがなされます。

1.×
“また体重が増えてしまった”というネガティブな発言からは行動変容への動機づけの高まりを感じられません。

2.×
食事療法では無理だ、というような発言であり、動機づけの高まりを感じられません。

3.×
ストレスのせいにするだけの発言からは動機づけの高まりを感じられません。

4.○
“甘いものを控えると体重が減る”という正しい理解をしており、行動変容への動機づけの高まりを感じられます。

問題104

医師から禁酒を指示された肝臓病の患者である。「1週間は禁酒しましたが、寝つきが悪いと感じ再び飲むように
なってしまいました」と話す。行動変容技法のうち、認知再構成を意図した管理栄養士の支援である。
正しいのはどれか。2つ選べ。

1.「1週間も禁酒できたのですね」と褒める。
2.「お酒の買い置きをやめてみては」と提案する。
3.飲まなくても眠れた日があったことを、思い出させる。
4.再度、家族に禁酒宣言することを、勧める。
5.「飲酒の記録を次の相談日に持参してください」と指示する。

正解→ 1.3.

解説
行動変容技法には例として次のようなものがあります。
・認知再構成:偏った認識を、望ましい考え方や行動ができるよう修正する方法。
・オペラント強化:報酬によって望ましい行動を促す方法。
・反応妨害・拮抗:欲求が生じた時に、別の行動に置き換えることで問題となる行動を阻止する方法。
・セルフモニタリング:自分の行動を観察・記録・評価する方法。
・刺激統制:望ましくない行動を起こさせる刺激を制御する方法。
・ソーシャルスキルトレーニング:対人関係おいて適切に対応するために行う訓練。
・目標宣言、行動契約:設定した目標を意思表示する方法。

1.○
「再び飲むようになった」、というネガティブな認識を、「1週間も禁酒できた」と褒めることで前向きな捉え方が
出来るように導いているため、『認知再構成法』です。

2.×
「お酒の買い置きをやめてみては」と提案する。
行動(飲酒)につながる刺激(お酒)を制限する方法のため、『刺激統制法』です。

3.○
『お酒を飲まないと寝つきが悪い』という現在の認識を、『飲まなくても眠れた』という考え方に導いており、
『認知再構成法』です。

4.×
家族に目標を宣言することは、『目標宣言、行動契約』です。

5.×
自分の行動を記録する方法は『セルフモニタリング』です。

問題105

減量中の中年女性への栄養教育である。間食を減らすことへの自己効力感を高める支援である。最も適切なのはどれか。
1つ選べ。

1.間食でよく食べる食品の、エネルギー量について説明する。
2.間食の頻度と量を記録してもらい、間食を減らせた日を確認し合う。
3.間食を食べ過ぎてしまった状況を思い起こしてもらい、対処方法を一緒に考える。
4.間食で食べたくなる食品は、買い置きしないよう提案する。

正解→ 2

解説

自己効力感(セルフエフィカシー)とは、ある行動をうまく行うことができるという「自信」のことです。
人がある行動へのセルフエフィカシーを強く感じていると、その行動を行う可能性が高くなり、
行動のための努力を惜しまず、失敗や困難を伴っても諦めにくいと考えられます。

自己効力感を高めるためには、“成功体験”と“モデリング”がポイントになります。
・成功体験:実際に行動を行い、上手くできたという経験のこと。
・モデリング:性別、年齢、健康状態、生活状況などが自分と似ている人が、ある行動をうまく行っているの知ることで、
「自分にもできそうだ」と思うこと。

1.×
間食でよく食べる食品のエネルギー量について説明しても自己効力感の高まりは期待出来ません。

2.○
間食を減らせた日を確認し合うことで、“間食を減らせた”という成功体験となり、自己効力感を高めることに
つながります。

3.×
間食を食べ過ぎてしまった状況を思い起こして対処方法を一緒に考えても自己効力感の高まりは期待出来ません。

4.×
間食で食べたくなる食品を買い置きしないよう提案しても、自己効力感の高まりは期待出来ません。

問題106

2型糖尿病の女性である。「菓子をもらったり、食事に誘われたりすることが多く、つい食べ過ぎてしまう」と話す。
ソーシャルスキルトレーニングとして、正しいのはどれか。1つ選べ。

1.お腹が空いたら、菓子の代わりに何を食べれば良いかを一緒に考える。
2.職場で配られた菓子を、その場で食べずに済む方法を一緒に考える。
3.メールで食事に誘われた時の、断りの文章を一緒に考える。
4.菓子を減らした時の、メリットとデメリットを一緒に考える。
5.イライラした時に、菓子を食べる以外の対処方法を一緒に考える。

正解→ 3

解説

ソーシャルスキルトレーニングとは、対人関係おいて適切に対応するために行う訓練です。
対人関係を良好に維持する技能を身につけ、ストレス対処や問題解決ができるスキルを習得します。

1.×
お腹が空いたら、菓子の代わりに何を食べれば良いかを一緒に考える事は対人関係におけるスキルトレーニングでは
ありません。

2.×
職場で配られた菓子を、その場で食べずに済む方法を一緒に考える事は対人関係におけるスキルトレーニングでは
ありません。

3.○
メールで食事に誘われた時の、断りの文章を一緒に考える事はソーシャルスキルトレーニングにあてはまります。

4.×
菓子を減らした時の、メリットとデメリットを一緒に考える事は対人関係におけるスキルトレーニングではありません。

5.×
イライラした時に、菓子を食べる以外の対処方法を一緒に考える事は対人関係におけるスキルトレーニングでは
ありません。

問題107

栄養教育を受けた学習者が、学んだことを生かして組織づくりへと展開した事例である。正しいのはどれか。1つ選べ。

1.パパママ教室を受講した父親が、イクメン向けの情報をSNSで発信した。
2.離乳食教室を受講した母親が、育児中の友人と学んだ情報を共有した。
3.食物アレルギー教室を受講した保護者らが、修了者のメーリングリストに登録した。
4.PTA対象の環境学習を受講した保護者らが、給食の生ごみで作った堆肥で学校菜園の運営を開始した。
5.炎症性腸疾患の患者会に参加した家族が、会のホームページで体験談を公表した。

正解→ 4

解説

1.×
情報をSNSで発信する事は組織づくりへの展開とは言えません。

2.×
友人との情報共有は組織づくりへの展開とは言えません。

3.×
教室受講後のメーリングリストへの登録は組織づくりへの展開とは言えません。

4.○
環境学習の受講から“学校菜園の運営”という組織づくりへ展開しているため、正しい選択肢です。

5.×
体験談の公表は組織づくりへの展開とは言えません。

問題108
大学における食環境づくりに関する記述である。食物へのアクセスの整備として、正しいのはどれか。1つ選べ。

1.大学内の学生掲示板に、食事バランスガイドのポスターを貼る。
2.大学ホームページに、食堂のメニューとその栄養成分値を掲載する。
3.食堂のモニターに、朝食用の簡単レシピを紹介する動画を流す。
4.食堂のメニューに地場野菜使用と表示し、その野菜を食堂で販売する。
5.大学のSNSに、学生が考案したバランスランチメニューを配信する。

正解→ 4

解説

食環境とは、食物へのアクセスと情報へのアクセス、並ひ゛に両者の統合のことを意味します。

・食物へのアクセス:食物か゛、と゛こて゛生産され、と゛のように加工され、流通され、食卓に至るかという食物生産・提供の
システム全体のこと。
→食物へのアクセスの整備とは、人々か゛より健康的な食物入手か゛しやすい環境を整えること。

・情報へのアクセス:地域における栄養、食生活、健康に関する情報の流れ、そのシステム全体のこと。
→情報へのアクセスの整備とは、すへ゛ての人々か゛健康や栄養・食生活に関する正しい情報を的確に得られる状況を
つくり出すこと。

1.×
大学内の学生掲示板に、食事バランスガイドのポスターを貼る。→情報へのアクセスです。

2.×
大学ホームページに、食堂のメニューとその栄養成分値を掲載する。→情報へのアクセスです。

3.×
食堂のモニターに、朝食用の簡単レシピを紹介する動画を流す。→情報へのアクセスです。

4.○
食堂のメニューに地場野菜使用と表示し、その野菜を食堂で販売する。→食物へのアクセスです。

5.×
大学のSNSに、学生が考案したバランスランチメニューを配信する。→情報へのアクセスです。

問題109

栄養教育前に実施するアセスメントの項目例とその調査方法の組合せである。
正しいのはどれか。1つ選べ。

1.腹囲 ―――――――――――― 臨床検査
2.1日のエネルギー消費量 ――― 文献調査
3.栄養成分表示の活用状況 ――― 食事調査
4.栄養情報の入手可能性 ―――― 質問紙調査
5.健康観 ――――――――――― 観察法

正解→ 4

解説

1.×
腹囲は身体計測にあたります。
身体計測では身長、体重、上腕周囲長、上腕筋周囲長、上腕三頭筋皮下脂肪厚、上腕筋面積、下腿周囲長などを
測定します。
臨床検査では尿検査、血液検査、心電図検査などの情報が得られます。

2.×
1日のエネルギー消費量の調査方法には、以下のようなものがあります。
・直接熱量測定法:発生した熱量を直接測定する方法。専用の実験室で運動を行い、その運動によって放出された熱を
水によって吸収し、水温の差から熱の発生量を算出する。
・間接熱量測定法:呼気を利用してエネルギー消費量を算出する方法。糖や脂質からエネルギーを発生させるためには
酸素が必要であり、吸気と呼気の酸素量を測定することで、利用された酸素量からエネルギー消費量を算出することが
できる。
・METs(メッツ):運動強度の単位で、安静時を1とした時と比較して何倍のエネルギーを消費するかで活動の強度を
示したもの。これにより、生活活動や運動の強度によってある程度の消費カロリーを把握できる。

3.×
栄養成分表示の活用状況の調査方法には、質問紙調査やインタビュー調査が用いられます。

4.○
栄養情報の入手可能性は質問紙調査によって調査することが出来るため、正しい選択肢です。

5.×
健康観の調査には質問紙調査やインタビュー調査が用いられます。

問題110
ラウンドテーブルディスカッションにおいて、管理栄養士がファシリテーターとして初回の進行を務めることになった。
初対面の参加者同士の交流を意図した発言である。最も適切なのはどれか。1つ選べ。

1.私が皆さんのお名前を順に読み上げます。
2.名札を胸に貼って、お互いに名前が見えるようにしましょう。
3.お一人ずつ、順番に自己紹介をお願いします。
4.隣の人から話を聞いて、その方を紹介する他者紹介をしましょう。

正解→ 4

解説

1.×
進行役が名前を読み上げることでお互いの名前を知ることは出来ますが、それだけでは交流には繋がりにくく、
最も適切であるとは言えません。

2.×
お互いの名前を知ることは出来ますが、それだけでは交流には繋がりにくく、最も適切であるとは言えません。

3.×
自己紹介を行ってもらうことで、選択肢1、2よりは交流のきっかけになりやすいですが、最も適切であるとは
言えません。

4.○
“他者紹介”をきっかけに参加者同士が直接交流することができるため、選択肢として最も適切です。

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